即応予備自衛官として陸上自衛隊の演習に参加しました。
演習はおよそ25年ぶりです。
しかも職種が当時と違うので勝手がよく分かりませんでした(職種が同じでも25年ぶりなので関係ないかもしれませんが)。
1日目の朝は駐屯地で、演習のための装具など準備して、それが終われば3トン半で出発し、昼頃に演習場に到着。
昼食後に演習に参加。
通常、自衛隊の勤務時間は8時前後から17時前後です。
しかし演習中は関係ありません。
17時を過ぎても屋外での作業が続きます。
日が暮れても続きます。
時々、10~15分程度の休憩があります。
零時を過ぎ日付が変わっても作業が続きます。
朝になっても続きます。
朝飯のあとはさすがに仮眠があるだろうと思ったら、何もありませんでした。
徹夜明けで、ずっと作業です。
2日目の夜は仮眠が取れるらしいとのこと。
……事情があって演習が1日早く終わることになり、昼過ぎから撤収作業になりました。
この撤収作業も辛いです。
状況外なので装具類は装着せずにいいし、小銃などはまとめて置いたりして、身軽ではありますが。
撤収作業が長引いて、そのうち夕方になりました。
日が暮れて、雨も降ったり止んだりするなか、ようやく撤収作業が終わりました。
その日は演習場の宿舎に泊まることになりましたが、その調整に時間がかかるらしく、作業の終わった隊員たちは自分も含めて放置状態でした。
場所は演習場のど真ん中で、見渡す限り平原です。
雨が降ったせいか、白いもやが出ていました。
そのもやをじっと見ていると、民家が見えました。
いや、民家なんてあるはずがないと思って目をこらすけど、どうみても民家です。
白い建物で、2階建てで、外階段がついているから、アパートなのかもしれません。脇には白い乗用車も見えます。
その時点で、およそ40時間ほど起きていた計算なので、睡眠不足による幻覚だと思います。
演習の前日も、4~5時間ぐらいしか睡眠はとっていなかったのでそれも関係しているはずです。
そのときはなんとなく、これは幻覚かな? と思った程度でした。
演習が終わって2日後ぐらいにあれは幻覚だったと確信しました。
普通だと起きている時間は16時間前後、長くても20時間ぐらいだから、その2倍強の時間起きていて正常な状態が保てるはずはないとも思えます。
ただ起きているだけならまだいいけど、重い装具をつけて、小銃を持っての作業を延々と続けるわけですからなおさらです。
しかも夏場で気温も高かったです。
ノンフィクション系の、海や山や砂漠なんかで遭難した人の話を読んだりすると、結構な割合で幻覚、幻聴などを経験するようです。
助けが来たとか、水や食料を発見したと思ってもそれは幻聴や幻覚でがっかりする場面はよくあります。
案外、人間の知覚能力が正常に機能する幅は狭いのかもしれません。
結局宿舎にたどり着いたのは21時頃でした。
普段、日が暮れてからは缶コーヒーは飲みませんが、その日は自販機で缶コーヒーを買って飲みました。
演習のあとの缶コーヒーは美味しかったです。