七人の侍
黒澤明監督の「七人の侍」ですが、観た経験はありますが、何度観たか? というのは覚えていません。
少なくとも1回ではなく、2回以上は観た記憶はあります。
ストーリーは、農民が野武士の集団に目を付けられて、たびたび畑などを荒らされている。
農民たちがお金を出して用心棒を雇うことにする。
農民の代表が町に行き、7人の侍たちを連れてくる。
7人の侍は、やってきた野武士たちと壮絶な戦いを繰り広げる。
ラストは、野武士の撃退には成功するものの、侍たちも尋常ではない被害を受ける。
農民たちは弱者にみえて実は強かで、本当の勝者は農民たちだった――という結末だったように思います。
もちろんこの映画、好きでした。
でした、というと過去形ですが、今は……うーん、少なくとも観ようという気にはなりません。
それはなぜか。
農民たちが弱すぎです。
時代設定は戦国時代の後期ぐらい(本能寺の変の5年後らしい)。
この時代の農民って刀狩りされてないから、丸腰ではありません。
武装しています。
だから農民は兵士でもありました。
野武士がやってきて、農民たちが、はあー困った困ったどうしよう……なんてことになるのかな? と疑問に思います。
農民といえども、よっしゃバッチ来い! と武器を手に取るような男たちばかりだと思います。
農民が非武装で弱い存在、というのは、江戸時代以降の話であって、戦国時代の農民はそんなにひ弱じゃないです。
なので、昔は「七人の侍」は好きだったけど、前提がおかしい点に気づいてからは、観る気がなくなりました。
結局のところ農民こそが勝者だった、という終わり方なので、その意味では史実的な側面もあります。
とはいってもやっぱり農民が侍を雇うのはナンセンスです。
物語の筋運びとか、キャラ設定とか、デティールとかは緻密であると思います。
名作といわれるだけの作品であるのは間違いないです。
1954年の作品なので、さすがに今みると古めかしいですけど、当時は衝撃的だったろうと思います。
……農民が丸腰で弱い存在である、というパラレルワールドの世界の話だと思えばいいわけで、そのほうが幸せでしょうか。