今夜、すべてのバーで
中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」を読みました。
私は酒はほとんど飲まないので、主人公の酒の飲み過ぎによる肝硬変とか、そんなアルコールに起因した病気に対しては共感はできませんでした。
アル中は、遠くから眺めるぶんは、面白いといったら失礼だけど、観察の対象としては興味深いです。
逆に、煙草吸わない、酒も呑まない、ギャンブルもいっさいしない。
そんな人は真面目とはいえるけど、どこか信用がおけない気がします。
自分が不真面目な人間だから……なのかもしれません。
どちらかに偏りすぎるのはよくない、ということです。
52歳の若さでなくなった中島らもさん……
アル中の書いた小説というより小説家がアル中になった結果「今夜、すべてのバーで」が生まれた、ということでしょう。
中島らもさんが52歳で亡くなったのはとても残念に思います。
ま、中島らもさんの人生を振り返ると、仕方のないことなのかもしれません。
お酒好きによる、お酒を主題にすえたエンタメ小説
主人公もいいですが、脇を固めるキャラも負けず劣らずにいいです。
主治医は最初は乱暴な人で嫌なイメージでしたが、この医者のキャラが良かったです。
終盤まで読むと 人間味が感じられて印象がガラリと変わりました。
全編を通してお酒に対する愛、そしてそのお酒を飲む人間に対するが愛が感じられる物語でした。
私は下戸ですが、そんな下戸でも楽しく読めます。
「今夜、すべてのバーで」は、そんな傑作小説です。
けれども、お酒はほどほどに。