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「ベターコールソウル」関連

「ベター・コール・ソウル」第10話「マルコ」の感想

投稿日:2015年9月7日 更新日:

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ソウル・グッドマン

「ベター・コール・ソウル」シーズン1最終話

「ベター・コール・ソウル」の最終回となります。
 ジミーはあの案件をHHMに持ち込みます。
 ハワードと2人きりで会って話をして、帰り際、ハワードはジミーに「君を気に入っていた」といいます。
 仲が悪そうに見えていたけど、それはチャックが横やりを入れていたからでした。
 ハワードは憎まれ役を自ら演じていた、ということなのでしょう。

 ジミーは休みをとって、故郷に戻ります。
 そこで悪友であるマルコと再会。
 昔のように2人で詐欺行為を行って気を晴らします。
 秀逸なのは、2人がかりで詐欺を行う点でしょうか。

 ジミーのもとに顧客から連絡が入って、ジミーは故郷から去ることを決意します。
 マルコが、時計がひとつ余っているから、最後に楽しもうと提案します。
 ジミーは断るものの、マルコに押し切られて時計詐欺を行うことになります。
 その時計の詐欺を行っている最中、マルコは心臓発作で倒れ「人生で最高の1週間だったよ」と言い残し、この世を去ります。
 お葬式の最中、キムから電話がきます。
 大手法律事務所がジミーに興味をもっていて、いずれはパートナーに迎えたいとの考えを持っている、と告げられます。
 HHMにはチャックがいるから、弁護士としては働けないけど、事務所が別ならなんら問題はないわけです。
 ジミーは、その話を受けるつもりだったようですが――。
 キムは、裁判所で大手事務所の人と会う段取りをセッティングしてくれます。

「ベター・コール・ソウル」のラストシーン

 ジミーは約束の日、法廷に向かう前に、チャックの家に寄ります。
 遠巻きに家を眺めるだけで家には入りません。
 チャックも、ジミーに気づいているけど、外に行くことができません。
 ジミーは、駐車場に車を停めて、法廷に向かいます。
 ……はじめまして。
 よろしくお願いします。
 このたびは光栄です。
 ジミーはそんな感じで挨拶の練習をしながら駐車場を横切りますが、立ち止まり、何かを考え込みます。
 画面に映るのはマルコの形見の指輪。
 ジミーはきびすを返し、車に乗り込みます。
 管理人のマイクに語りかけます。
 ここのところだけ書き起こします。

マイク「もう出るのか。無料だ」
ジミー「教えてくれ。あれは夢か? 160万ドルは本当に俺の机にあったのか。目を閉じると今も見える。目の奥に焼き付いてるんだ。誰にも知られてなかった。2人で80万ドルずつ山分けして家に持ち帰れたんだ。しかも非課税で」
マイク「何がいいたい」
ジミー「なぜそうしなかった?」
マイク「〝正しいこと〟をしてると言ってたぞ」
ジミー「分かってなかった」
マイク「なぜ俺が盗まなかったか知りたいか?」
ジミー「ああ、教えてくれ」
マイク「個人的に仕事を頼まれ、そのとおりにした。それだけだ」
ジミー「そうか、あの時、俺を止めたものはもう2度と――俺を止められない」
 ジミーは車を走らせ駐車場を後にして、ディープ・パープルというイギリスのロックバンドの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」という曲を口ずさむ。

 最初にラストまでみたとき、意味が分かりませんでした。
 え、これで終わり……?
 キムがせっかく段取りをつけてくれたのにすっぽかして……
 理由については、いくつかの解釈ができると思います。
 結局のところジミーは、大手法律事務所の誘いを断りました。
 兄のチャックに配慮して、ということなのか。
 駐車場の前の場面ではジミーはチャック宅に寄りますし。

 それとも、ジミーは誰かの下につくのではなく、あくまで自立したい、ということなのか。
 パートナーにならずとも、報酬は発生するはずなので、そのお金できちんとした事務所を構えることもできるでしょう。

「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を口ずさむジミー

 または最後の最後でジミーが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」という曲を口ずさんでいることに意味があるのなら――。
 この歌、実はマルコが時計詐欺の時に鼻歌として口ずさんでいました(路地裏で酔っ払いを装って寝転がっていたとき)。
 ジミーが駐車場で立ち止まったとき、マルコの形見の指輪を意識するシーンがあったし、最後の台詞「そうか、あの時、俺を止めたものはもう2度と――俺を止められない」を考えると――。 
 詐欺で小銭を稼いでいた自分が、真っ当な弁護士になんてなれるわけがない。
 兄が実は正しかったんだ。
 俺は所詮「滑りのジミー」(当たり屋)でしかない。
 兄の言うとおり、俺は偽物なんだ。
 優秀な弁護士である兄と一緒に仕事をするなんて、おこがましいことだ。
 マルコの形見の指輪を触りながら思う。
 俺は、裏稼業を専門とする弁護士になる。
 それがお似合いさ。
 だから、今度、非課税の160万ドルが目の前にあったら、俺はそれを躊躇うことなく手に入れる。

 もう少しうがった見方をすると、ジミーが駐車場で立ち止まって考え込んだとき、ジミーは世界というものを感じたのかもしれません。
 自分と、それを取り巻く他者と。
 そしてそれを内包している世界と。
 なりたい自分になれる訳ではなく、なれる自分にしかなれないわけです。
 自分の理想は、兄のような有能な弁護士になることだった。
 兄と一緒に働きたかった。
 けど、それは夢だった。
 だって俺は滑りのジミーだから。

 本家『ブレイキングバッド』の主人公ウォルターも悪の道に進みます。
 この点では『ベターコールソウル』のジミーも同じだったわけです。
 ウォルターは否応なくで、ジミーは自らの意思で、という違いはあるにせよ、到達したのは同じ場所だった、ということでしょうか。

 シーズン2が楽しみですね。

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